恋すること、夢みること、わたしは いつも漂っている。
『へウォンの恋愛日記』 (韓国映画/90分)
8.16 公開。http://www.bitters.co.jp/h_s/
【STORY】 へウォンは大学生。教授であるソンジュンとの秘密の関係を終わらせたいと思っている。カナダに移住する母親との別れで落ち込んでしまい、しばらくぶりにソンジュンに連絡してしまう…。(試写招待状より)
これは運命なの? 偶然なの?
恋とチキンと懐かしい流行歌。恋愛は街角で動きはじめる。
女性たちの圧倒的な共感を呼んで韓国で大ヒット!!
『ソニは ご機嫌 ななめ』 (韓国映画/88分)
8.16 公開。http://www.bitters.co.jp/h_s/
【STORY】 ソニは、アメリカ留学の推薦状を頼むため、チェ教授に会いに大学を訪れる。その帰り道、元カレのムンス、先輩の映画監督ジェハクに出会う。ソニに気がある3人の男たちは、それぞれ「人生訓」を披露する。ソニをめぐる四角関係が始まった!!(試写招待状より)
『3人のアンヌ』(通信(158))で日本でもファン急増中のホン・サンス監督。その新作2本が同時公開。現実と夢、運命と偶然が混然一体となったような独特の世界に 再び お目にかゝれます。
2本のうち、僕は『ソニは ご機嫌 ななめ』が気に入りました。
『へウォンの恋愛日記』のほうも興味をそゝる内容でしたが、主役のチョン・ウンチェが、最初から最後まで、まどろんでいる時以外、かき上げても落ちてくる髪を かき上げ続け、さらに度々、鼻や口のまわりに手を当てる動作を繰り返し見せる…、それが何とも気になって、演技の本質・意味に目を向けられなかったコトが 僕自身にとっては 致命的でした。
あの動きは、ホン・サンスが意図的に演出したモノなのか、ウンチェ自身のクセなのか…。いずれにしても、僕は あの種の動きをヒンパンに見せる人が 昔から生理的に とても苦手で、本作は 僕との相性が良くなかったようです。
『ソニは ご機嫌 ななめ』のほうは、題名が感じさせるとうりの面白い映画で、ロカルノ国際映画祭で監督賞を受賞。韓国では、「小気味良い四角関係やソニの小悪魔的な魅力が人気を呼んで、ホン・サンス作品最大のヒットを記録した」とのコト。
すれ違いや似たような場面の反復、カメラを据えての長回し、ズーミングがポーンと入るパテント的な撮影法、場面転換の呼吸や会話の面白さは、ホン・サンス作品ならではのモノでした。
主役のソニは、頭が良くてセンスがあって理想主義者ですが、協調性に問題がある ヘンな女の子。元カレのムンスに、「人って変わりたがるのよね。自分が何者かも知らないクセに」などと絡んだりもします。
ついでに ですが、ソニが教授や大先輩のジェハクから言われる台詞に、読者向きと思える「人生訓」があったので、ココに幾つか紹介しておきますね(笑)。
「人と ぶつかることを避けて 映画なんて作れるか? つらくても人と共に生きる方法を学ぶべきだ。そうだろ?」
「好きなことは とことん やれ。そうすれば 自分が分かる」
「たとえ つらい時でも、自分に恥じない行動をしていれば いゝんだ。結果は どうあれ。」
ソニ役のチョン・ユミは、本作を撮っていた時、30歳。そんな年齢には とても見えず、特に横顔が綺麗です。
最初のタイトルからファーストシーンに入るまでの間に、無声映画のピアノ伴奏風の音楽が流れます。ラストシーンからエンディングタイトルの間にも、やはり同じ音楽が流れました。さらに、すれ違いや反復が生み出すリズムとテンポetcを含め、ホン・サンスは シャイヨー宮のシネマテークあたりで、無声映画を 手当たり次第 観たに違いない と僕は感じました。そう感じさせるところにも、ホン・サンスの魅力が隠されています。
P.S. 『ヘウォンの恋愛日記』のほうにも、ひとつ 印象的な台詞がありましたので、書きとめておきます。
「母さん、自分の思うとうりに生きてね。」
「ありがとう。あなたもよ。生きるとは 死に向かうコト。毎日、少しずつ 死に近づくの。だから、やりたいように 生きるのよ!」
笑い、ため息、涙、微笑み――。
人生いろいろあるけれど、どれもが 輝き。
イタリア映画界を牽引するキャストとスタッフが贈る、ヒューマンドラマの傑作!
『ローマの教室で ~我らの佳き日々~ 』 (イタリア映画/101分)
8.23 公開。www.roma-kyoshitsu.com/
【STORY】 ローマの公立高校。「教師は学校内の教育だけすればいい」というクールな女校長 ジュリアーナ。「生徒に やる気を起こさせる!」が使命の熱血漢である国語の臨時教員 ジョヴァンニ。教育への情熱を失い、「生徒は みんな 頭が空っぽ」と嘆く美術史の老教師 フィオリート。3人のタイプの違う教師は それぞれに、問題を抱える生徒と関わることになり…。(試写招待状より)
ローマで30年以上も教鞭を とっている作家:マルコ・ロドリのエッセイ(原題『赤と青』、近日刊行予定)から着想された作品。イタリアの教育現場の現実を映し出しながら、人間が本来持っている可能性を指し示し、「ジュゼッペ・ピッチョーニ(脚本・監督)ならではの鋭い観察力と繊細な演出が光る」と大評判…。
ジョヴァンニ役を『あしたのパスタはアルデンテ』(通信(67)で紹介)の リッカルド・スカマルチョが演じているというコトもあって、一日も早く観たかったのですが、試写当日に体調を崩し、実は僕は未見です。あと1回、試写があるのですが、それを待っていると本日の配信に間に合わなくなるため、今回は初の “予告編”というコトで お許し願います。詳しくは、上記のwwwで。
次回の試写室便りは、注目作『イヴ・サンローラン』(劇映画)etcについて、9月2日頃に配信の予定です。では!
ビューティ エキスパート 大高 博幸 1948年生まれ、美容業界歴47年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。 ■大高博幸の美的.com通信 http://www.biteki.com/article_category/ohtaka/ |