イカレたふたりの出会いと再起を全世界が応援!
爆笑がいつしか大粒の涙に変わる、共感度No.1の感動作。
『世界にひとつのプレイブック』 (アメリカ映画)
あす、2.22からロードショー。
詳しくは、playbook.gaga.ne.jpへ。
「妻の浮気が原因で心のバランスを崩したパットは、家も仕事も妻も、すべてを失くしてしまう。今は実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリ中だ。何とか妻とヨリを戻したいパットは、彼女の理想の男になろうと努力するが、妻は接近禁止命令を解いてくれない。そんな時出会ったのが、近所に住むティファニー。愛らしい姿からは想像もつかない、過激な発言と突飛な行動を繰り出す彼女に、振り回されるパット。実は彼女も事故で夫を亡くし、心に傷を抱えていた。パットの手紙を妻に渡すことと交換条件に、ティファニーはパットにペアでダンスコンテストに出場するよう命令する。人生に希望の光を取り戻すための、ふたりの挑戦が始まった――!」 (プレス資料から抜粋)
このロマンティック(?)・ムービー、あれこれツイストしながら意外な展開を見せる内容で、上映時間は123分。ストーリーはフィクションですが、主役の二人を含め、欠点や悩みを抱えながらも健気(けなげ)に生きている普通の人々の姿を、愛を込めて描いているところが良かったです。僕個人としては、精神的には相当苦しみながらも努めて明るく振る舞っているパットの友人ジェイクに、幼ななじみのような親近感を覚えました。
誰もがグッとくるはずなのは、ダンスコンテストで出番が終わった後の、道路の真ん中でのパットとティファニーのやり取りの場面。そして、それに続くハッピーなエンディングが、あなたを笑顔にしてくれます。
本作は間もなく発表されるアカデミー賞®で、作品賞、監督賞、脚本賞、主演男&女優賞、助演男&女優賞の7部門にノミネートされている注目作。
主演は、米People誌で「世界一セクシーな男」に選ばれたブラッドリー・クーパー(パット役)と、オンライン男性誌が世界中の約240万人を対象に行った「世界一魅力的な女性」の投票で第1位に選ばれたジェニファー・ローレンス(ティファニー役)という、今 最も輝いている演技派の二人(彼らは次回作『SERENA』でも共演とのコト)。パットの両親役は、ロバート・デ・ニーロとジャッキー・ウィーヴァーです。
『ジュラシック・パーク』から20年、最も刺激的な恐竜アドベンチャーが誕生!!
あなたは遭遇する、恐竜目線の世界に。
『ダイナソー・プロジェクト』 (イギリス映画)
3.16からロードショー。
詳しくは、dinosaurproject.jpへ。
「世界的な動物学者であり冒険家であるジョナサン・マーチャント率いる英国未確認生物調査隊のメンバーとTVクルーを乗せたヘリコプターが アフリカ大陸コンゴの秘境で突然消息を絶った。機械オタクのルークは父であるジョナサンの調査隊ヘリに無断で忍びこみ、同じく行方不明となってしまう。現代文明から完全に遮断されたコンゴのジャングルで、ルークたちが目撃したのは あの“失われたはずの世界”だった――。」 (試写招待状より抜粋)
この短いストーリーを読んだだけで、子供の頃のようなワクワク感を覚えた人は、きっと老けにくい人。たとえ、この種の映画の常套的な展開が目に見えるようであったとしても、15歳のルーク少年に同行して“ロストワールド”の驚異や恐怖を体験してみたいと思うのは、あなたが童心を失っていない何よりの証拠です。
本作の最大の特徴は、惹句にあるとうり“恐竜目線”の映像が楽しめるコト。植物食恐竜レソトサウルスの子供と友達になったルークが、クリプトと名付けた その愛らしい恐竜の首に小型カメラを取り付けて、ヴァーチャルな世界を覗くという趣向。このクリプト君は知能指数が相当高く、まるで忠犬のようにルークのピンチを救ったりもします。
レソトサウルスの他には、ネッシーのような大恐竜や、吸血コウモリのジェホロプテルスという非常にグロテスクな恐竜etcが登場…。登場と言えば、この映画には裏切り者の悪人までもが登場します。その人物が本性を表わし始める辺りでの目つきの変化は、子供でも「おや?」と気付くはず…、です。
ロケーションは南アフリカのワイルド・コースト、プレッテンバーグ・ベイ、ケープタウンで行われたそうですが、1番良かったのは渓谷の川をボートで進む場面でした。
1つ相当困ったのは、手持ちカメラによる、ブレたり途切れたりする場面が大半を占めていたコト。クリプト君の首のカメラによる映像は とても良かったのですが、その他の手持ちカメラ映像には目が非常に疲れました。もっとも試写室友達の○○氏は、「僕は全然平気。アレで疲れてちゃ負けでしょう」と胸を張って言っていました。でも僕は、バイシンのウェイクアップキュア(目薬)を持参していって、「助かった!」という感じでしたね…。上映時間は83分。
≪以下、映画館便りです≫
その8 『八月の鯨』(1987年、アメリカ映画。カラー、スタンダード、91分。岩波ホール創立45周年記念の特別企画で、2.16から3月下旬までの上映予定。詳しくは、iwanami-hall.comへ。)
『八月の鯨』は、あの映画評論家の故・淀川長治さんが、日本初公開時に次のような熱い熱いコメントを寄せた、映画史に残る珠玉のような作品です。
「この脚本、この演出、この配役、ただ見事につきる名作だ。ことにリリアン・ギッシュとベティ・デイヴィス… この二人を一作の中に見る奇跡! これは美術だ、詩だ、名舞台だ。しかも この名監督の映画精神しみこませ、ただ酔うのみ、ただ もう涙あふらすのみ! ぜったい、ぜったい、ぜったい、見逃がし給うな!」
1988年11月、本作は岩波ホールで単館ロードショーが始まると同時に連日満員札止めが続き、合計31週間も上映され、社会的にも大きな反響を呼びました。
以下、ストーリーをチラシから抜粋します。
「リビーとセーラの老姉妹は、毎年夏になるとメイン州の小さな島にあるセーラの別荘にやってくる。かつて そこの入り江には8月になると鯨がやってきて、彼女たちは よく鯨を見に駈けていったものだった。姉のリビーは、第1次世界大戦でセーラの若い夫が亡くなった時、彼女の面倒をみた。しかし今はセーラが、目の不自由なリビーの世話をしている。そのようななか、リビーは他人に頼らざるをえない自分に苛立つことが多くなった。セーラは姉の世話を続けてゆく自信を失ってゆくが、幼友達のティシャ、修理工のヨシュア、そしてロシアの亡命貴族というマラノフ氏との交流に ささやかな憩いを見出している。彼女たちは、もう一度、あの青春の思い出、八月の鯨を見ることができるのだろうか。」
監督は名匠リンゼイ・アンダーソン(1923-1994)。妹役のリリアン・ギッシュ(1896-1993)は、清教徒的な美しさと類まれな演技力で無声映画時代に数々の名作に主演、亡くなるまで“銀幕の聖女”と称され続けた小柄な大女優(僕は1980年前後に、彼女から手紙を3回、いただいたコトがあります)。姉役のベティ・デイヴィス(1908-1989)は、ハリウッド黄金時代に悪女的要素の強い役柄で人気の高かった発声映画時代の大女優。この対照的なキャラクターの二人が姉妹を演ずるというだけで、映画通は惹きつけられずにはいられませんでした。そして本作は二人にとって、それぞれの最後の出演作ともなりました。
『八月の鯨』を僕は初公開時に2度、岩波ホールで観ました(満員で入場できなかったコトも2度ありました)。その後、DVDでも3度、観ています。今回は6度めの観賞になりますが、「再びスクリーンで観られるとは!」という感激、至福の想い。しかも、初公開時のままの日本語字幕、新たに焼き直したニュープリントでの上映!
何かを少しでも感じるところのある方は、ぜひとも観てください。いつまでも心に残る、愛してやまない一作となるコトを、誓って保証します。
ビューティ エキスパート 大高 博幸 1948年生まれ、美容業界歴45年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。 |