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Channel: 大高 博幸 –美的.com
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大高博幸の美的.com通信(136) 『王になった男』『バチェロレッテ』 試写室便り No.36

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(C)2012 Strategic Motion Ventures, LLC

“幸せ”って人と比べるもの?
友達(しかもオブス)の結婚に焦る、≪バチェロレッテ(独身女子)≫3人組の史上サイテーの一夜が始まる!!
『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』 (アメリカ映画)
2.22からロードショー。
詳しくは、bachelorette.gaga.ne.jpへ。

「女子の人生を揺るがす大事件勃発!!  高校時代の同級生で、おブスでおデブな友達ベッキーがプロポーズされた!  衝撃の告白を受けた独身組の3人は結婚式に出席するためにNYへ。しかし結婚前夜パーティでハジケすぎて、花嫁のドレスを破ってしまう!  挙式まであと12時間!  次から次へと襲いかかるトラブルと甘い誘惑に、さらに大暴走する3人! ヒビが入ったドレスと友情、そして3人の女子達の行方は――!?」  (試写招待状より抜粋)

「えーっ!  あの子が私より先に結婚!?」。独身女子なら おそらく誰もが一度は味わうショックな体験。それをドタバタ風に描いた“モロinsane”なラブ&マリッジ&フレンドシップ・コメディです。
チラシの写真で横を向いているのが1番先にウエディングドレスを着るコトとなったベッキー(映画の中では、もっと太っている)。後方右は“完璧求めすぎ”のレーガン、中央は“元カレひきずりすぎ”のジェナ、左は“すぐHしすぎ”のケイティ(ついでに言うと、手前・後向きはストリップ・ボーイ)。
「最近のUSAガールズって、みんな こんな風?」とは思ったけれど、アキレながら観ていると結構面白い。日本の女子群にも心理的に共通するところが多々あるので、砕けた気分で女友達と一緒に観れば大いに楽しめるはず。特にオススメしたいのは、①『セックス・アンド・シティ』のような映画を好む女子、②責任は持てないけれど、何に対しても一歩踏み出すコトができずにいる女子&自己嫌悪に陥る習性or趣味のある女子(笑)。
上映時間は88分。「というコトは、きっと展開がスピーディ」と勝手に予想していたのですが、演出の意図なのか編集の都合なのか、予想していたよりもテンポはスロー。女子達のセリフをマシンガン・トークにしたなら、もっとキビキビしたフィーリングを出せた感じ。また、レーガン役のキルスティン・ダンスト(S・コッポラ監督作品『マリー・アントワネット』でタイトルロールを演じていた)以外は余りなじみのない顔振れで、特に男優陣をイケメンor個性派で揃えれば、興行価値も さらにアップしたはず、なんて言うのは余計なお世話かも…。
ラスト近く、プロのヘア&メークさんの手で“お人形風の花嫁”に仕上げられて行くベッキーの姿は必見。見違える程キレイになったので、「プロの技って大したモノだなぁ」と改めて感心させられてしまいました。

 

(C)2012 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

そなたたちに大事な“事大の礼”より、
余にとっては民が何百倍も大事である――
『王になった男』 (韓国映画)
2.16からロードショー。
詳しくは、becameking.jpへ。

絢爛豪華な王朝時代を舞台に、実在した朝鮮15代目の王・光海の秘密に迫る、史実にフィクションを織り混ぜた歴史大作。

イ・ビョンホンが初の時代劇出演で、しかも二役を演ずると知っただけで、観賞欲をそそられました。
僕は『夏物語』(2006)を観て彼のファンになった一人ですが、それは演技力やルックス以上に、彼自身に内在していると想像させた“人としてのデリカシィ”に強い魅力を感じたためでした。

本作での彼は、メークを微妙に変えるといった手法に頼るコトなく、瓜二つの人物、毒殺の危機に脅える光海と、その影武者となった道化師・ハソンとを演じています。二人が絡むシーンは1ヶ所だけだったと思いますが、画面右に光海、左にハソンがいて、光海の手がハソンのアゴを持ち上げるというショットなど、CG技術出現以前の“二重撮影法”では絶対に不可能だった映像表現が成されています(不自然さは全くありませんでした)。

物語は、ハソンが影武者(というよりは“身代わり”をさせられている)を務め始めて間もなく、毒見役の15歳の女官・サウォルの身の上話を聞いて涙を流す場面辺りから、観る者の心を一気にワシ掴みにしてしまいます。そこからハソンは“民”のための“真の王”になっていくワケですが、僕は4~5ヶ所で相当な量の涙をこぼしました。“宮廷歴史物”という以上に、僕は“人情物”として この映画を観ていたようで、そういう場面で泣かされていたのです(それを恥ずかしいとは思っていません)。
イ・ビョンホンは特にハソン役での演技が素晴らしく、スター男優としての存在感を遺憾なく発揮。従来からのファンを満足させると同時に、ファン層を さらに拡げるコトは確実です。
また、彼との共演場面の多い長官ホ・ギュン役のリュ・スンリョン、世話係チョ内官役のチャン・グァン(以上の二人だけは、ハソンが光海に瓜二つの男であるコトを最初から知っている)、護衛官ト部将役のキム・イングォン、そして前述のサウォル役のシム・ウンギョン(『サニー 永遠の仲間たち』で主役の少女を演じていた)らの助演が とても良かったです。それぞれの絡みで息が合っているだけでなく、お互いの演技を引き立て合う形になっていたところが見事でした。中でも僕が特に良かったと感じたのは、ハソンを「偽物ではないか」と最初に疑う人物・ト部将を演じたキム・イングォン。脇役には違いないし、今後も一層活躍するであろう彼に対して失礼かもしれませんが、“一世一代の名演技”と評されてもいい程の出来でした。

以下、アトランダムな感想です。
・大規模なセットから細部に至るまで実に丁寧に作られていて、準備に相当な時間と労力が費やされている感じ。TVの韓流時代劇と完全に一線を画しているのは、このスケールの大きさや、まぶたに整形手術の傷あとが見える女優&男優が出てこないコト、さらに現代社会に向けたリアルな説得力を備えているコト、命の尊さを本気で訴えているコト。
・上映時間は131分ですが、決して長いとは感じさせません。特にラストの20分間程は、皆さんも心臓が高鳴っている自分に気づくはず。
・観る時は、ハンカチorティッシュペーパーの用意をオススメ。僕は観終えて相当数のペーパーを捨てようとした時、鼻をかんだペーパー3枚が血に染まっているのに気づいてビックリ。風邪をひいていたワケではないし、僕は鼻血が出る程、若くも元気でもないというのに…。
・“王”の排便に関する場面は、もっと整理したほうが良かったのでは?  世話係が予め教えておけばハソンを驚かすまでもなかったはずだし、女官達の笑い話の場面も決して良い出来とは言えませんでした。
・余談ですが、この映画は名作『チャップリンの独裁者』(1940)と幾つかの点で共通しています。某国の独裁者ヒンケルと、瓜二つの しがない理髪師とを演ずるC・チャップリンの二役。ひょんなコトからヒンケルと入れ替わった理髪師は、壇上でラジオのマイクに向かって民主主義の擁護を訴える…。あなたが熱心な映画ファンならば、『王になった男』を劇場で観た翌週ぐらいに、『チャップリンの独裁者』をDVDで観ると、両作の感動が倍増すると思います。

 

ビューティ エキスパート
大高 博幸 

1948年生まれ、美容業界歴45年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 http://www.biteki.com/article_category/ohtaka/


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